最近では建物事情、ライフスタイルの変化により電子ピアノを求めるかたも増えています。
そん中には値段で比較するかたも多いでしょう。
では実際には金銭的に見て電子ピアノと生ピアノ(アコースティック)はどちらがお得なのでしょう?
まずはその維持費について考えてみましょう。
電子ピアノの維持費と言えば電気代。
電気代の計算は一般的に1kwの電力を1時間使って¥23ほどとのこと。
YAMAHA製のクラビノーバで消費電力は120Wほどなので、電気代が1kWあたり1時間使い¥23とすると、1時間使っても0.12kWで¥2.76。
10時間使って¥27.6。
1日10時間、1ヶ月使って¥800くらい。
私の所有する電子ピアノP-120にあてはめてみると・・
消費電力24W
1時間使って0.024kWで¥0.55。
10時間で¥5.5。
1日10時間、1ヵ月使って¥165。
正直私は1日10時間も使いません。なのでこれよりもかなり低い数値となります。
電子ピアノの本体価格が安くて3万円代から、高くて30万ほどですが、標準で15万円ほどでしょうか。
対して生ピアノは最低でも新品購入50万円前後でしょうか。
中古ピアノになると10万~30万円くらい。
生ピアノの場合の維持費はメンテナンス代として調律が通常一年に一回¥12000ほどかかります。
月割りにすれば¥1000ほどです。
単純に考えても電子ピアノのほうが割安です。
しかしながら電子ピアノの寿命は普通に弾いていれば10年ほどでしょう。
鍵盤のバネがへたりカタカタ音が出たり、センサーが反応しなくなり音が出なくなるなど一般的な電化製品と同じような症状が出てきます。
そのような場合大抵のケースでは買い替えとなります。
10年も経てば安価で性能の良い品物が出ているからです。
生ピアノのほうはというとやはり部品のへたり、摩耗などによりタッチや音が変化していきます。
湿気などにより木部やフェルト類の痛みも出てきます。
2、30年ほど経ったピアノは修理の対象となります。
修理代は状況により様々ですが3万~20万といったところでしょうか。
生ピアノは電子ピアノに比べ時代による機種の性能の変化はほとんどありません。
コストカットでその性能が落ちている部分もあれば改良されてよくなっている部分もあり一概には言えませんが根本的な部分は変わりません。
しかし電子ピアノがいかに進化しようとも生ピアノを越えることはできません。
ゴール地点が生ピアノだからです。
別の楽器としてとらえるとすれば話は別ですが、一般的にはいかに本物に近い音を作れるかというのが電子ピアノの永遠の課題です。
本題に戻り、生ピアノと電子ピアノのどちらがお得か?
ピアノ調律師の立場から言えば”生ピアノ”と言う回答です。
特に長くピアノを続けていくのであれば生ピアノのほうがよいでしょう。
修理が可能なので同じ楽器を使い続けることができます。親子2代にわたり使うことも可能です。
現実的に費用面で見れば電子ピアノのほうが格安ですが、それだけでは測れないものがあります。
耳に良いのは生ピアノの音であるのは言うまでもないことですし、音色の豊かさはもちろんのこと表現力は電子ピアノの比ではありません。
一音一音に含まれている音の幅、厚みが圧倒的に違います。
また環境の面でいえば電気を全く使わないアコースティック楽器は省エネにもなり地球に優しいこれからの時代に適しているものと言えるでしょう。
もし誰も使っていないピアノが眠っているのなら、新たに楽器を購入したりするよりは一度修理して使ってみることを費用的な面からもお勧めします。
そしてそのようなピアノを使わないからと言い処分するよりも、いつか使うときのことを思いメンテナンスしていくことをお勧めします。