2018年2月24日土曜日

YAMAHA G2 ハンマー交換

ヤマハグランドピアノG2 ハンマー交換作業


かなり弾きこまれつぶれてしまったハンマーフェルトの交換。



ハンマー交換をするとタッチへの影響が大きいためまずは既存の状態を測定。

ハンマーストライクウェイト、ダウンアップウエイトの測定。


ダウンウエイトは低音部が50前後、中音部35前後、次高音部40前後、高音45前後、アップウエイトは25前後といったところ。
特に中音から次高音にかけてハンマーがかなり削ってあったこともあり弾いた感じも軽くなっていました。


ローラー部は磨耗がしていないのでシャンクは既存のものを使用。


ハンマーヘッド部を取り外します。




新しい国産のハンマーヘッドは比較的軽めのものでウッドの素材が軽量なもの。

フェルトの増量するぶんを考慮しても比較的理想値にくるのではと予想。


取り付け前に針を入れて音作りの下地を作っておきます。どれだけ刺すのか仕上がりを予想しながらの作業。


ハンマーの取り付け前にアクション部のセンターピンスティックを修理しスムーズに可動するよう各部チェックします。フリクション値が適正でないと鍵盤関係などの測定値に影響を与えます。

当然ながら弾いたときの動きも悪くなりますからウエイト以前の問題です。




ハンマー付け作業

両端の基準を頼りにハンマーを一本一本にかわで接着し取り付けしていきます。




テール加工をし、アクション関係の測定に入ります。

ウイペンウエイト、フロントウエイトの測定。


そして新しく取り付けしたハンマーのストライクウエイト測定。

概ねよいところへきてますが高音部が高い値。




ファイリングをして仕上げ



鍵盤の深さの調整をあらかじめしておきます。あとは現地にて微調整。

大抵のピアノは深くなっていますから紙パンチングを入れて適正値へ。



バランスピン、パンチングパンチングは錆や汚れが付いて動きに影響している。
特に黒い汚れは潤滑剤などを使用した跡で、塗りつけたときはよくても年数が経つにつれて硬化して鍵盤の可動の妨げに。
なにも使用しないで錆をなくし常に清潔にし鍵盤ホールを適正な固さにすること、長くトラブルがおきないために必要なこと。




鍵盤を筬へ取り付け
今回フロント、バランスブッシングも張替しているのでその具合も見ながら調整





現地にて最終調整




ハンマー打弦距離をピアノに合わせタッチを確認。新しいハンマーを取り付けているので各部の調整が必要

ハンマーストライクウエイトは新ハンマーになり1gほど増量。
ダウンウエイトの値が6g~10gほど大きくなったもののアップウエイトとのバランスがよくタッチが重くなった感覚は感じられず。ハンマーフレンジのスティックによるフリクション値の改善もありハンマーがスムーズに動き連打が効きやすくなりました。

鍵盤の深さ調整であるあがきも適正値になったことも弾きやすさにつながりました。
心配していた高音側はハンマーの重さの影響はほとんどなく以前の状態をキープ。

バランスウエイトの値は40前後。キーレシオは0.51。
ウイペンウエイトも標準値、ローラー距離等のアクション寸法も基準値。

全体的に現状で概ね問題ない状況でしたが中音の3~4鍵ほどダウンウエイト値が大きいものが見受けられ、ハンマーの重さの影響が出てもたつき感が出ていました。

この部分はパンチングカットによるストライクレシオを調整することによりタッチの改善が見られました。弾き心地を周りと合わせて調整。

低音から高音に至るまでバランスのよいタッチを実現できました。以前より連打もしやすくハンマーが正常となったため音色の幅が広がり様々な弾き方に対応できるようになりました。

ハンマーが新しいため音色がまだ硬め。徐々に慣らして調律と整音を繰り返しより理想的な音色を目指します。