ピアノにとって最適な調律時期はいつかと聞かれることがあります。
結論から言うとそんなものはありません。
理由はいつ調律をしても温度や湿気の変化により狂いは生じるからです。
雨の日に調律することを避けたがるかたもいますが、それもあまり意味はありません。
ピアノを開けて調律するとはいえ、ふだんピアノ自体は密閉されているわけではありません。
すきまがあいているため、そこより湿気などは入り込んでいきます。
ピアノの中の状態を気にするよりも置いてある環境が重要です。
常に湿気の多いところであれば梅雨を避けて調律してもすぐに湿気の影響は出てきます。
ピアノは密閉されてはいないからです。常に呼吸をしています。
それよりも調律するときの空間の温度や湿度は重要です。例えば夏でクーラーを効かせた部屋でいつも練習されているかたは調律時もその状態に近い温度・湿度にしなければいけません。
それは温度の変化により音が変化し調律が変化するからです。
25℃、60%で調律されたピアノはその状態から上下すれば当然音も変化します。
しかししっかりと調律されていれば温度・湿度が再び25℃、60%になればまたもとの状態に戻ってきます。
その変化を繰り返すことにより少しずつピアノは音が狂っていくのですが、基本的には弾くときの状態で調律をするのがベストです。
なので理想的には季節が変わり気候が落ち着いたらそのたびに調律をすべきなのです。日本では四季があるので年4回でしょうか。
ただそれでは現在の調律料金の相場では費用的にはかなりの出費になります。
通常は年に一回、もしくは年2回といったところです。
コンサートになればその催しの度にピアノは調律されます。
ピッチや奏者の好みもさることながら、ピアニストの激しいタッチで演奏されればひとつコンサートが終わっただけですでに狂いは生じています。
それほど微妙なもので、一年一回の調律ではなんとか弾いていてさし障りのない程度に一年間とどめるのが関の山ではないでしょうか。
重要なのは一年一回の調律であれば、いつ調律するかよりも調律時期をあまりずらさないことです。
一年経ち同じ気候状態になったときに同じような位置に音が戻ってきています。
それを無視して時期をずらせばピンを余計に動かして調律しなければならず、音の落ち着きの面から言えば不利なことになるでしょう。
半年たびや頻繁の調律であればそのたびに音を合わせてしまうのであまり意味はないですが一年という長期でピアノの音ををなるべく安定させたいのであれば、温度や湿度変化が少ない場所で同じ時期に調律するのがよいでしょう。例えその時期が梅雨時であってもです。