2008年5月22日木曜日

アグラフ





ベアリングと呼ばれる内部のフレームと一体になり突起して出ている弦を固定する部分の変わりに使われる弦固定具をアグラフと呼ばれる。

主にグランドピアノや上級アップライトの機種に装着されている。


アグラフ=弦を通すための孔をあけた真鍮製の留具


このアグラフによって弦をしっかりと保持することにより弦の高さ、弦と弦の間隔、有効弦長が常に均一に保たれる。

この弦の高さ間隔が一定になるため、弦を叩くハンマーが常に一定の定まった位置での打鍵ができるため音量、音色とも理想的な音が得られるとしている。

ピアノの音は響板で作るというコンセプトを核としているべヒシュタイン社のようなピアノメーカーの場合、高音部に総アグラフ式を採用し、これによりフレーム(鉄骨)と弦を完全に分離することで金属的な雑味を無くし、立ち上がりの早いクリアな音色を実現しているとしている。


こうした響き方は鉄のフレームを鳴らすというスタインウェイピアノの豪奢なそれとは対照的であり音の分離感を得られるとしている。


しかし技術的には常に同じ位置に弦が固定されているため、ハンマーのほうで角度、幅位置等の調整を強いられ、調整の自由度が効かないという不便さも持ち合わせている。