2007年10月17日水曜日

ホールの空気

今夜は事務所に飛んでた蚊を2匹潰した。

最近いつものように蚊と格闘している。こないだ夏でも見ない超特大のがいて死闘の末たたけた。
今日のも色こそついてなかったけどでかかった・・

O型のせいかほんとによく蚊には喰われる。この夏も夜中に格闘し寝れなかった日もざらだった。
家中の蚊が自分のところに集まっているかのような錯覚に陥る。

殺生をしてはいけないとわかっていながら蚊には容赦ない自分。

どんなものにも命があると手塚治が名作「火の鳥」の中で言っていたけれど、僕にはいまだに理解ができない。自分に危害を及ぼすものを生かしてはおけないのだ。

そんな僕は手塚氏の言うような聖人にはなれません。こんだけ殺したら地獄行きかもしれないですね。



今日と言うか昨日はコンサートの調律だった。コンサートの空気はいい。あのホール独特の雰囲気はたまらない。

コンサートの仕事は調律師にとってはやりがいのある仕事には間違いない。しかも今回はコーラスの伴奏に使われるとの事でピアノも活躍できる。ポップスやイベント系と違いマイクでひろったりしないぶん生の音の美しさが求められる。


ホールに到着後、地下のピアノ庫に案内された。

ここは普通ではまず立ち入ることはできないところだろう。ここにはYAMAHAのフルコンサート型とセミコンサート型、STEINWAYのフルコンサート、KAWAIのアップライトが保管されていた。

古いホールにしては環境はまずまずと言った感じではないだろうか。

まずはここで作業開始。本来は舞台上で本番同様な状態で調律をしたいのだがそこはしょうがない。
舞台のほうでは足台などの設置作業が行われている。時間の制約があるなか贅沢は言えないのだ。

ピアノの調律は常に環境との闘いだ。最高の状態で作業ができるなんて事はまずない。
この日も途中からエレベーターで舞台に上げられ、カナヅチとんかんやってる側でユニゾンを創る事になる。ひどい時は調律中ドリルの音がえんえん鳴り続けた会場もあった。

音だけではない、刻一刻と変わる温度や湿気にも注意を払わなくてはならない。

しかしどんなに環境が悪くても時間内にある程度のレベルまで仕上げなくてはならない。
他のなにものも寄せ付けない集中力と神経質にならないずぶとさが必要だ。

そのため集中して微動だにしないその姿は極めて異質に見えていることだろう。そんなものはかまわない、どう思われようと仕事をきっちりすることが最も大事な事なのだ。

与えられた時間内でできるだけ理想とする状態に近づける、それだけだ。


調律とはなんて"孤独"な作業であろう。


この日はピアノの状態も良くかなりいい状態まで調整できた。

本番は観客席にまわり音のチェック。思ってたとおり前奏や間奏ピアノソロの部分も多くピアノの音がホール中によく響いていた。

舞台上とは違って聴こえる音の感触に、自分の感覚を重ね合わせる。
伴奏者が変わる度にまた違う音になる。

そのひとつひとつの経験が自分の血となり肉となるのだ。