各種弾き方による感触
p~fの間、均一な音色、タッチではあるが強弱の幅が狭い、変化が付けづらい
ppとff、ppは比較的出しやすいもののタッチコントロールができていると言うよりは音があまり出ていない。ffは中音部のみ出やすい状況。
トリルとスタッカートができない。鍵盤が重く感じる。特に早いパッセージでは鈍い動き。
センターピン間寸法 11.3mm
ウィペンからジャック 9.9mm
フリクション(アクション内部の摩擦抵抗)
ハンマーフレンジセンターピンのスティックあり、対処。
鍵盤関連のガタ、スティック等調整
ウィペン、ダンパー、各部チェック
サンプル鍵盤
6key DW 72g UW 30g HSW 12.9g WW 17.6g FW 46.7g
7key DW 76g UW 24g HSW 13.2g WW 17.6g FW 47.1g
40key DW 60g UW 25g HSW 9.5g WW 17.2g FW 22.4g
41key DW 67g UW 30g HSW 9.8g WW 17.2g FW 24.6g
66key DW 65g UW 20g HSW 8.8g WW 17.4g FW 24.1g
67key DW 65g UW 22g HSW 8.3g WW 17.4g FW 23.7g
キーレシオ(KR)は0.49~0.51の間
スタンウッドの平衡等式に当てはめてストライクレシオ(SR)を算出
BW+FW=KR×WW+HSW×SR
SRは5.9~7.1の間
スマートチャート中の3要素関連表(タッチウエイトパラメーターテーブル)にて値を照らし合わせてみるとバランスウエイトが表の値を飛び出している状態。BWの値からみるとFWが大きく鍵盤鉛にてバランスウエイトの値を小さくしている状態。
ハンマーストライクウエイトの重さレベルが大きく、ストライクレシオの値が大きい事も判明。
全体的にハンマーが重く、特に最低音から次高音、次高音から最高音にかけてが重い。
ウッドの材質、シャンクの材質が主な原因と仮定。
重いハンマーを中心としたバランスピン奥側にかかる重量に負けぬよう鍵盤鉛を手前側に入れバランスを取ったと思われる。重いハンマーを上げるためにダウンウェイトの値が大きくなり、共にアップウェイトの値は小さくなってしまい返りの著しく悪い状態の鍵盤になってしまっている。
昔の製造段階ではこれが主流のやりかたであったようで、これ以外の対処はされておらず鍵盤が沈む動きは悪くはないもののとにかく上がってこない動きの鈍い鍵盤のために弾きづらい状態。
鍵盤の慣性モーメントの値が大きく結果的によいものではない。
鍵盤鉛が鍵盤前面全体に入っている状態。
黒鍵に至っては鍵盤前面のほとんどが鉛と言う状態。
対策としてハンマーの著しく重いものはウッド部の加工をし0.2~1gほど減量。
なるべく全体として揃うよう調整。
次にストライクレシオの調整を鍵盤の支点位置を変えることにより調整。鍵盤パンチングの半カットによりSRを変化させます。
これによりDWが8gから15gほど変化。UWは4gから8gほど変化。
今回鍵盤関係はフロントウエイトを減らすために鍵盤鉛を削り減量。
これによりUWが改善。ストライクレシオの変化によりアクションレシオが変化しているためDWの減量による影響は感じられず、スムーズな打鍵を実現。
トリルや連打もストレスなくできる状態へ。タッチのコントロールが効くようになったためppからffまでのニュアンスの幅が広がった。低音部の音量、音質共にスッキリとしたものに。次高音部の音色が前面に出てきたため全体としてのバランスが取れた。
参考文献