2010年1月29日金曜日

調律だけでは気付かない注意点

日頃の調律作業だけではわからない、気付かないことも多い。


例えば、ピアノの音以外の雑音などは調律作業後に演奏をすることにより気付くことが多い。

それは調律中での単音や和音、オクターブでの発音だけでは鳴らない雑音があるから。クラシックなど音数の多い曲を演奏することにより倍音に共鳴する音がわかる。

共鳴の雑音に関しては調律中にはなかった外装を取り付けて弾くことにより外装各部が鳴り出すこともあり必ず確認作業が重要。


またタッチなどは特に調律作業中だけでは感じられないものも多く、具体的なタッチ感を得るには必ずピアノ曲を演奏することが求められる。

例としては、鍵盤を押す動きが鈍いと言うことが一鍵盤ではあまり感じられなくても、いくつもの鍵盤を同時に押さえるような和音を弾くことによりその鈍さが明確に感じられる。


これらのことからも調律作業後には必ずピアノを弾いての確認作業が欠かせない。

それは技術者の視点から見ることと同時に演奏者の視点からピアノを見ることが重要であるからです。

寸法や音の均等、均質など技術的に優れていても、ピアノの前に座り演奏したときに感じる感覚がその全てであり、常に演奏者ありきで考えて作業することが重要であります。


素晴らしい調律をしても共鳴して鳴る雑音ひとつで悪く評価されることもあるからです。

技術に偏りがちな多くの調律師が陥る落とし穴でもあります。